Q:九谷焼・吸収・Quality・永久
Por:porous porcelain(多孔質磁器)
内部に無数の気孔がある「多孔質陶磁器」です。
Qpor(キュポーレ)は高い吸水性と速乾性があり、目に見えない無数の穴が水分を吸い取り放散します。
一般的な珪藻土商品とは違い、焼き物なので洗浄が可能です。
また、九谷結窯の技術(特殊印刷)によるフルカラーの加色も可能です。
毎日の暮らしの中で呼吸するように自然に心地よく使える新素材の九谷焼です。
水を吸い込む珪藻土のコースターが市販されているが、珪藻土とは 全く異なる磁器でありながら、配合と焼き方を工夫することで、水 を吸い込む陶磁器のコースター等を九谷焼技術センターと共同開発
しました。
陶磁器なので、手描きはもちろんのこと転写でも絵付けが可能で、 さまざまな分野への展開が見込めます。
二山工場長「通常の土に比べて粘性がなく、成形が非常に難しい素 材ですが、石川県産の土で前例のない機能性が期待できるため、日々 成形の改良に励んでいます。」
特徴1:焼き物なのに珪藻土と同等以上の吸水・速乾
Qpor(キュポーレ)は目に見えない無数の穴が空いた「多孔質磁器」です。
つまり目に見えない無数の穴が水分を吸い取り、その水分を水蒸気として放出するので、表面は常にサラサラと乾燥した状態です。
特徴2:水洗浄が可能で長く清潔に使える
一般的な珪藻土商品とは異なり、1000℃以上の窯で焼成したもの、つまり焼き物です。
通常の焼き物と同じようにジャバジャバと水で洗っても問題ありません。
煮沸殺菌も可能で長く衛生的に使えます。
特徴3:香りを放散
放散性もあるので、アロマなどの香りを染み込ませればアロマストーンとして香りを放ちます。
特徴4:九谷焼の新素材 100%石川県産
Qpor(キュポーレ)は石川県工業試験場の九谷焼技術センターと共同開発した新しい九谷焼です。
素材は石川県の鉱山である河合鉱山製の磁器を使用しております。
この素材で商品化しているのは九谷結窯だけです。弊社スタッフが一つ一つ丁寧に製造しております。

Qpor(キュポーレ)は、内部に無数の気孔を持つ「多孔質磁器」です。目に見えない穴が水分を吸い取り、水蒸気として放散することで、表面は常にサラサラ。毎日の暮らしの中で呼吸するように、自然に心地よく使える新素材の九谷焼です。
一般的な珪藻土製品とは異なり、1000℃以上の窯で焼成された「焼き物」のため、水洗いも煮沸殺菌も可能。九谷結窯の特殊印刷技術でフルカラーの絵付けも施せます。
2020
石川県工業試験場・九谷焼技術センターから河合鉱山産陶石の紹介を受け、共同開発スタート。
2021
「水を吸う土」という発見から、珪藻土以上の吸水力を持ちながら洗浄可能な初製品が完成。
2022
放散性に着目し、アロマボトル・マスクスタンド・シューズ用ストーンなど多彩な派生品を開発。
2023
石川県デザインセンターの事業を通じて学生アイデアと融合。「梅ふふむ」開発スタート。
2025
「偶然」が生んだ蓄冷機能カップが誕生。
2026
製造過程で出る端材を再利用したネッククーラーが誕生。
現在進行中
社長のアイデアは今も尽きることなく、工場長・スタッフとともに失敗を恐れずQporシリーズは進化し続けています。
2020年、石川県工業試験場から届いた白い陶石
九谷焼技術センターから届いた一通の提案がすべての始まりでした。
「県内産の土を紹介したい」
——その知らせを聞いた瞬間、二山社長の目が輝きました。
新しいものが大好きで、面白い素材と聞けばすぐに飛びつく性格の社長にとって、この白い陶石はまさに宝物のように映りました。真っ白で美しい素地が生まれる可能性を秘めていた、その一粒の土。
九谷焼で長く使われてきた「花坂陶石」とは大きく異なり、流動性が悪く成形が難しいという課題を抱えていました。それでも社長の二山は諦めません。
「この土なら、きっと何かできる。」
そう信じ、工場長とスタッフに改善の宿題を投げかけました。



Qporの原料となる河合鉱山製の陶石と、九谷結窯での製造風景
成形性と機能の狭間で格闘した日々
偶然の発見
この土は、水を吸収する性質を持っていました。





数々の試作(上段)を経て完成にこぎつけた「Qporマルチコースター(下段)」
「水を吸う土」の驚異的なポテンシャルを引き出すため、私たちは最初からコースターを作っていたわけではありませんでした。最初は、暮らしの中のあらゆる湿気を解決するため、シューズキーパーやドライングボード(水切り板)、果てはマスクスタンドなど、ありとあらゆる立体成形に取り掛かりました。
しかし、この新素材は極めて粘性がなく、少しでも複雑な形にすると乾燥や焼成の段階で割れてしまい、成形性が非常に難しいという過酷な壁が立ちはだかりました。
珪藻土以上の圧倒的な吸水スピードを持ちながら、焼き物として洗える・煮沸できる耐久性を両立。この最初の着地が、次のブレイクスルーを生むことになります。
「吸い込んだ水分はどこへ消える?」という問いの答え
コースターが水を吸い込み、あっという間に乾く様子を見ていた社長が、ふと呟きました。
「吸い込んだ水分は、一体どこへ消えているんだ?」
答えは一つ、目に見えない気孔から外へ「放散」していたのです。
「水分を放散するなら、アロマの香りを中に閉じ込めれば、最高のディフューザーになるはずだ。」
このひらめきから、液漏れを防ぎつつ優しく香るボトル型アロマディフューザーの開発を思いつきました。
この放散機能の発見をきっかけに、ボトル型のみならず、日常に携帯できる「アロマペン」など、香りを心地よく空間に広げるためのフレグランス商品への着手が次々と始まりました。



ボトル型の開発試作から、アロマペン、マスクスタンドへと広がった香りの放散プロダクト
金沢美術工芸大学・山西君の熱意と成型担当の執念
アロマの展開は、さらに芸術の域へと突き進みます。
石川県デザインセンターの事業を通じて出会った、金沢美術工芸大学の学生・山西君(当時2年生)。
彼が持ってきた「オブジェのようなディフューザー」というデザイン案は、あまりにも美しく、
そして製造困難な形でした。
最初は3つの案を提案頂きましたが一度には製作が困難な為梅の木から開発をする事になりました。
ただでさえ割れやすいQporの土で、この複雑に入り組んだ枝葉を一体成型することなど、常識では「不可能」の一言。しかし、山西君の熱意に動かされた工場長とスタッフたちは、素材の限界を追求するため開発へと着手しました。
そして、もう一つこのQporの面白いところは顔料で色を付けた水も吸い上げて毛管現象で染まるというところです。この複雑な梅の木のディフューザーが色のついたアロマ液で染まる様子からデザイナーである山西君のプロダクトセンスで「うめふふむ」という名前が決定しました。
幾度も繰り返された試作と失敗
細い枝の部分に土が回らない、乾燥させると継ぎ目から裂ける、窯に入れると自重で歪む。数え切れないほどの不合格品を出しながらも、配合や型の角度をミリ単位で修正し、何度も何度も試作を繰り返した末に、ついに奇跡のディフューザー「梅ふふむ」が完成したのです。
「水を吸う弱点」を「冷たさを貯金する強み」へ変える逆転の発想
「水を吸う」という、本来の陶磁器ではタブーとされる弱点。それを全く異なる価値へと昇華させる、最大の展望が始まります。それが「凍るうつわ」プロジェクトです。
「アロマボトルが液漏れ防止のために外側へ釉薬をかけるなら、逆に内側だけ釉薬をかけたらどうだろう?」
この発想から、工場長へ新たな試作品づくりの指示が飛びました。
出来上がったカップを手に取ると、どこかひんやり。
試しに冷蔵庫で冷やしてみると、通常の陶器よりもよく冷えています。そこで社長はさらに一歩踏み込み、
「水に浸して凍らせてみよう」と実験を実施しました。
実験は大成功でした。内部に閉じ込められた水分が完全に凍ることで、器自体が丸ごと「保冷剤」へと変身。
氷を入れなくても、最後の一滴、最後の一口まで薄まることなくキンキンの冷たさを保ち、吸水力によって表面は結露せず常にさらさら。
九谷焼の未来を塗り替える、感動のライフスタイル提案がここに誕生しました。
圧倒的な保冷力を持つ、Qpor凍るうつわシリーズ
不合格品たちを、もう一度愛おしいサステナブル素材へ
端材をセラミックボールに再生した「ネッククーラー」
Qporの美しさと機能性の裏には、今なおつきまとう「製造の難しさ」があります。
粘性がない土であるため、どんなに細心の注意を払っても、乾燥時や窯の中で焼き上げる段階で割れたり歪んだりしてしまい、毎日たくさんの「不合格品(不良品)」が出てしまいます。
せっかく石川の山から採掘され、社内スタッフが手をかけ泥漿(陶磁器の原料)にした土。
ただ捨ててしまうのはあまりにも忍びない、何とかしてこの命を再利用できないだろうか?
その強い想いが、私たちを突き動かしました。
不可能と言われたセラミックボール化への挑戦
最初は専門機関からも「破砕してボール状に成形し直すのは困難」と言われました。
それでも諦めず、バインダー of 配合を工夫し、砕いた不合格品を小さな丸い「セラミックボール」へリサイクルする独自のルートを確立。
このボールが持つ優しい冷感と結露しない性質を活かし、サステナブルで現代の夏を救う「九谷セラミッククーラー(ネッククーラー)」へと、見事に生まれ変わらせたのです。
新素材Qpor(インタビュー:代表二山)
九谷結窯の作り手の想い(インタビュー:営業上田)
こうしてリサイクルへの道を切り開いた九谷結窯ですが、二山社長の頭の中には、今この瞬間も新しいひらめきが溢れかえっています。
「次はこんな面白いものを作ろうと思うんだ!」という社長の突発的なひらめき(暴走?!)が飛び出すたび、工場長やスタッフたちは「ええっ、またですか!」「成形が無理ですよ!」と頭を抱えて大忙し。
そんな無理難題にみんなで巻き込まれ、社長からの「出来るだろう?」という圧(プレッシャー)に悩まされながらも何とか実験を繰り返し試行錯誤する時間こそが、九谷結窯のモノづくり。社長の尽きない情熱と、それに振り回されるスタッフたち苦労が尽きない限り、呼吸する九谷焼『Qpor』の進化の物語に、終わりはありません。
次なる難題(ひらめき)を笑顔で企む二山社長